ドイツのテレビ

ARD - ドイツ公共放送連盟

Arbeitsgemeinschaft der öffentlich-rechtlichen Rundfunkanstalten der Bundesrepublik Deutschland

ARD logo

ARD germanmap1950年に設立された公共放送局。現在,ドイツの9つの州にある放送局で制作された番組を共同番組として全国放送,または地方の番組として流しています。主な放送局は,Das Erste, EinsPlus,Einsfestival,tagesschau24,および地方独自のテレビ・ラジオ放送局です。また,公共第二放送局であるZDFと共に,3sat,Arte,Phoenix,KiKA などとコラボレーション体系を組んで協力しています。ARDはドイツ人でも第一放送局と同一視している人も多いようですが,Das Erste(第一放送局)はARDの代表放送局のひとつです。

視聴率が最も高いARDの番組は,1970年から放送され,スイスやオーストリアの共同放送局からも放映されている犯罪ドラマ "Tatort"(犯行現場の意)で,常時20%前後の視聴率で600万人以上の根強いファンがいます。Tatort が放送される時間帯は,通常は裏番組に勝ち目はありませんが,人気サッカーなどがあると負けることもあるようです。
夜のニュースも,ほとんどの放送局が独自のニュース番組を制作しているにもかかわらず,ARD/ZDF のニュース放送は高い視聴率を保っています。

>>> www.ard.de(ARD本局)
>>> www.ardmediathek.de (ネット視聴なので数日遅れでも見られるメディアテック)
>>> www.daserste.de (ARDを代表する第一放送局)
>>> www.tagesschau.de (ニュース)
>>> www.sportschau.de (スポーツ)
>>> www.youtube.com/user/ARD (Youtube 発信)


ZDF - ドイツ第二放送

Zweites Deutsches Fehnsehen

ZDFラインラント・プファルツ州の州都マインツを所在地とする大放送局で,約3600人が従事しています。戦後,1950年代の終わり頃,CDU(キリスト教民主同盟)のアデナウアー首相が2つ目の公共放送局を設立することを提案しました。表向きは一局では独占的になるのでよくない,という理由でしたが,恐らく政府にもっとやさしい放送を流したいというのが本音だったようです。SPD(社会党)が与党であるハンブルクとヘッセン州はアデナウアーの計画に反対して,ドイツ憲法裁判所に訴え,結果アデナウアー・テレビと呼ばれる計画は裁判で正式に却下されます。ドイツ憲法裁判所は,却下の説明にあたり,アデナウアー計画の内容だけではなく,いかに公共放送でも国の管理下に置かれるのは無線の波長や設備,経営などのハード面であって,番組内容のソフト面に対しては,完全に自由でなければならないと釘を刺します。その後,ドイツの多くの州が共同で第二放送局の設立を計画し,最終的にはドイツ全土の州が同意して1961年に正式にZDFが設立されます。

そして,今年2014年の3月,ドイツ憲法裁判所は再び,ZDF とドイツ政府の契約条項がドイツ基本法に準拠していないという判決を下します。これまで,4割以上だったドイツ政府寄りの役員を3割まで減らすこと,そして,ドイツ政府は報道内容に関して介入しないよう改めて警告が出されています。
本来,ARDとZDFは,違いを明確にしてニュースの内容や論調などを独自の方針で制作する計画だったようですが,最近は毎日のニュースのトピックスやテキストだけではなく,画像表示の方法やスタジオ設置機器,アナウンサーの構成,経済ニュースのコメント,天気予報の説明の方法など,何から何まで同じなので,同一ディレクターではなかろうかと疑いたくもなります。

これまでで最も人気の高かった番組は,1980年代の,Schwalzwaldklinik (黒い森地方の診療所の周りで起こる物語)と Das Traumschiff (豪華客船の船旅中に起こる物語)で,2千万人を超える視聴者がいました。1990年代に2千万人以上の視聴者を獲得したのは1992年放映の Wetten, dass...? で,辛うじて超えた2047万人。その後,2006年のサッカー・ワールドカップの純決勝,イタリア対ドイツ戦では2966万人を記録しています。

>>> www.zdf.de (ZDF本局)
>>> www.zdf.de/ZDFmediathek (ネット視聴なので数日遅れでも見られるメディアテック)
>>> www.heute.de (ニュース)
>>> www.zdfsport.de (スポーツ)
>>> www.youtube.com/user/zdf (Youtube 発信)


ARTE - ヨーロッパ共同テレビ協会

Association Relative à la Télévision Européenne

arte w220 h150名称は,ヨーロッパ共同となっていますが,フランスとドイツの合同制作で,フランス語・ドイツ語の2ヶ国語放送です。1990年,当時のベルリンを含む西ドイツ10州とフランスで取り交わされた条約に基づいて1991年に設立,1992年5月30日に放送開始をしています。その数年前から,ドイツ・フランスの国境地帯で両国の人たちも多く住んでいるラインラント・プファルツ州とバーデン・ヴュルテンベルク州などが2ヶ国語放送の構想を立て,当時のヘルムート・コール首相とフランソワ・ミテラン大統領の支援によって実現したものです。本所在地はフランスのストラスブールで,国境を越えたドイツのバーデン・バーデン,そしてパリ郊外にも放送局があります。

文化を重点に置いた番組制作とされていますが,なんのなんの,時事的な問題に関してフランスとドイツの知識人がお互いの国を背景とした説明をリアルタイムで行いながら,その問題に関する質の高いドキュメンタリー短編映画を見せたり,と構成・内容共に素晴らしいものを持つ,個性的なテレビ局です。アフガニスタン戦争やイラク戦争が始まる前の時期は,ほとんどの放送局は是と否の解説をする専門家,わいわいガヤガヤの熱いけど薄いトークショーばかりでした。 ところが ARTE は,中東と欧州の歴史の流れから,原油を巡る各国の政策,黒海周辺諸国のパイプライン建設におけるアメリカの思惑,はたまたアフリカとの関連などまで,完全に中立の立場で冷静に長い解説をしてくれる番組を流していたのです。誰が悪い,何が良い,などの言葉は一切なし。納得する,分かりやすい授業のようで,いつこんな番組を準備する時間があったのだろうか,とタイムリーな重厚番組にびっくりした記憶があります。

かと思えば,古いロックブルースやジャズのドキュメンタリーやヌーヴェルヴァーグの連続映画などまで,100年単位の社会と芸術の歴史をじっくりと「見せて」くれるのには脱帽です。先日,「あぁ,ドイツにもARTEがあるの? ARTEはいいねぇ」とフランス人に言われて,なぜか知らない人と急に気が合うような気がしました。とにかく,全ての人たちを対象とした放送局はタイムリーながら表面的になりすぎ,公共放送局はなぜか道徳意識が保守的で教育的な匂いがして,視聴率稼ぎに忙しい商業放送局は,スキャンダル・お笑い・ファッション・スポーツ・セックス・犯罪映画などばかりの中で,独自の価値観で貫いた番組構成で抜きん出ているのが ARTE です。
日本と韓国でもいつかこのような・・・と,20年間願い続けています。

>>> www.arte.tv (ARTE本局)