デュッセルドルフのカーニバル

carnival w64011月11日11時11分

夏時間が終わり,きれいな短い紅葉の季節も過ぎ,やや雰囲気が上がり気味になるクリスマス市の始まりまでの,退屈で灰色の期間を埋めるかのようなタイミングでカーニバルの開幕宣言のような11月11日11時11分がやってきます。
「第五の季節」とも呼ばれる「カーニバルの季節」ですが,実際には新年を迎えてからAschermittwoch(灰の水曜日: 2018年は2月14日)までがカーニバルのクライマックスとなります。

ドイツ国内でカーニバルを祝う風習が強く残っているのは,ラインラント地方と南西ドイツ(シュヴァーベンおよびバーデン)なので,地理的にはスイスから入り,オランダに抜けるドイツ国内のライン河畔一帯となり,ひょっとすると何か理由があるのかも知れません。中でも,最も規模の大きい3大カーニバルは,マインツ,ケルン,そしてデュッセルドルフとなり,「この間やっと終わったと思ったのにまたやって来た」という印象をもたれる日本人も多いかも知れません。

カーニバルは5千年の歴史?

紀元前3000年の古代バビロン時代の石碑に残るカーニバルの原点を思わせるような記載によると,5000年ほど前からメソポタミア地方で祝われていた風習のようです。
神の象徴的な結婚日とする新年後の7日間を,「この期間中は,穀物の製粉は行わない,女性奴隷と女性主人および男性奴隷と男性主人はそれぞれ同等の待遇を受ける,権力を持つ者と持たない者が同等の敬意を受ける」期間として祝うという記述は,現代のカーニバルの基本精神ともいえる「すべての人たちが同じ待遇で祝う平等の精神」に通じるものがあるというわけです。
しかし,まぁ実際には,春の到来,穀物の収穫,神への敬いと感謝などの市民の祭りはエジプトから地中海沿岸一帯まで数多いので,人間社会の根源的な祭りの形と考えることができるかも知れません。

v.l. Jacques Tilly Steve Antonin Hans Juergen Tuellmann und Frank Schraderさて,いずれにしても,ドイツでは3番目の規模を誇るデュッセルドルフでも,毎年11月11日11時11分にカーニバル開始を宣言するのは,全期間を通じて中心的な役割を演じるNarrenprinz です。Prinz はプリンスなので王子の和訳に異存はありませんが,Narren は,宮廷の太鼓持ち,愚か者,気違い,奇人変人,阿呆,道化などの和訳となるので,デュッセルドルフでJeckeと呼ばれる,飲み騒いで羽目を外す人物の代表者のような存在です。ラインラントでは道化師が多く,南ドイツやスイスなどは悪魔の服装や仮面を装う人が多い印象です。

デュッセルドルフ・カーニバルの山車製作のドン,ジャック・ティリー

DVD Die grosse Narrenfreiheitデュッセルドルフに限りませんが,都市のカーニバルは山車無しでは盛り上がらないので,毎年毎年趣向を凝らした皮肉たっぷりの山車製作者は最も重要な影の立ち役者です。その山車のアイデアから製作ディレクターまで長年一気に引き受けているデュッセルドルフの有名人がジャック・ティリー氏(上の写真の一番左)です。

デュッセルドルフ紹介に欠かせないカーニバル,そしてカーニバルに欠かせない人物として,ニューヨークタイムズや英国のガーディアンなどでも紹介されてきた山車製作マイスターです。

今回初めて,バラの月曜日(Rosenmontag)に繰り出される巨大な山車の製造の舞台裏から完成までを撮影したドキュメンタリー・タッチのDVDが発売されます。

タイトルは „Die große Narrenfreiheit“(道化で振舞う偉大な自由)
価格: 14.95 Euro
● デュッセルドルフ中央駅前およびアルトシュタットのデュッセルドルフ観光所で求めることができます。