Wohnen in Deutschland
ドイツの住居と不動産

house賃貸アパート探し

住まい探しから契約締結まで

ドイツの都市における賃貸アパート探しは,年々困難になっている印象です。一般的には,家賃も飛びぬけて高いミュンヘンを筆頭に,フランクフルト,ベルリン,ハンブルク,シュトゥットガルト,ケルン,デュッセルドルフなどの都市,そして,フライブルク,ハイデルベルク,マインツ,テュービンゲンなど,大学都市と呼ばれる学生一杯の町でのアパート探しは極めてむずかしい覚悟が必要です。そして,4部屋以上は少ないので子供が多い家族用の賃貸アパートを交通の便の良いロケーションで見つけるためには長い時間を要します。

特に日本人にとっては言葉の壁もあるので,良い物件があっても即行動を起こし,家主や不動産会社と交渉するのは大変なので,相場よりも高かったり条件が多少落ちる物件に甘んじるしかないことも十分考えられます。

学生の場合は,この数年急激にアパートシェアがポピュラーになっており,外国人への偏見どころか,外国人との共同生活は当たり前という若者がほとんどなので,学生には WG "Wohngemeinschaft" が最もお奨めかもしれません。

「条件を少し落とせば」という意味は,自然に恵まれた環境,高級住宅街,最新の改装,面積や部屋数などにおいて妥協すれば,ということです。条件があまりよくなく,相場よりも高い物件を不動産会社に礼金を払って見つけ,短期間しか住まないとなると,最悪条件になります。

ただ,日本,英国,米国などの大都市から転居した人はドイツの都市の家賃は安いと感じるようです。
「ドイツの家具無しアパートというのは本当に何もない。しかし,安い,家賃は本当に安い」という英国人のブログを読んで驚いたことがあります。
この数年,多くの都市で,新築または改築された高級アパートが増え,2000ユーロ以上の家賃を払える裕福層には選択幅が広がっていますが,低所得者はもとより,一般の人たちには厳しい状況になりつつあることも事実です。

しかし,見方によっては,日本の都会のように「1時間の通勤時間は当たり前」という感覚ならば,都市周辺の田舎に選り取り見取りの広い快適なアパートが数多くあるのも事実です。家族持ちは,子供の学校がクリアーできたら,職場の50km半径(車,電車で30分)の町々や自然を探索して,気に入った環境で物件を探すとより良いドイツ生活を過ごせると思います。

近年多くの家主が,入居人の家賃支払いの保証として,保証金とは別に SCHUFA などからの信用情報も求める傾向があることも留意しておいてください。
SCHUFA 信用情報とは

ドイツは世界最悪の外国人差別の国?

ところで,コンスタンツ大学およびミュンヘン大学が過去40年来行っている調査によると,住居探しにおいては欧米諸国全体で外国人に対する偏見や不公平さが見られ,中でも最も差別が大きい国はドイツ,最も少ない国はカナダだそうです。

また,外国人や移民の中でも差別度が最も高いのはアラブ系,イスラム系,という結果が出されています。 少しの希望は,1970年代以降,徐々に公平に向かいつつあること,そして日本人に対する差別度は高くない,ということでしょうか。 しかし,日本人に対する好感度や信頼度が高い,とは記されていませんので誤解のないように・・・

ドイツの賃貸アパートでは,暖房設備が義務付けられています。しかし,暖房設備の種類や方法は問いませんので,古いアパートの場合は炭を入れるオーブンなども残っています。個々のアパートで独立した暖房機器,建物の地下の暖房設備(ボイラー,ガス,灯油)から各世帯に送られるパイプ,近代アパートのセントラルヒーティング,地域一帯の遠隔暖房など様々ですので,アパート見学のときに質問されることをお勧めします。料金にも大きく影響しますので,月々の平均料金も訊かれたらいいと思います。

他の欧米諸国と比較すると,ドイツでは不動産会社の仲介物件が多いですが,日本との比較では格段に直接取引が多いと思います。
不動産会社を介した場合の礼金は廃止されましたが,不動産会社に住居探しを明示的に依頼して物件が見つかった場合は礼金支払義務が発生します。法的には最大2ヵ月分の純家賃(19%の付加価値税加算)と定められていますが,ほとんどの業者が最大権利を要求しています。

賃貸アパートを探すときの注意

  • 自然光(太陽)が当たる昼間に見る
    陽が差し込む時間や方向は説明だけでは分かりませんし,壁の損傷箇所や浴室のカビなどを,家主が隠すことも考えられます。
  • 事前調査
    該当地区の家賃の平均相場は,住所が分かった時点でインターネットで調べられます(Mietspiegel)。
    また,前もって住居の周りを散策すると環境の概要が分かります。
  • 下見は,できたら友人など,誰かと一緒に行く
    自分が気が付かなかった箇所を見ている可能性だけではなく,家主の説明などにおいても「聞いた・聞いてない」が起こらない証人になってもらえる
  • 妥協案を考えておく
    特に都会や,小さい町でも大学町などは,条件の良い物件には応募者が詰めかけるので,外国人が競合するのはむずかしいと考え,前もって妥協案を頭で計算しておくと「決めますか?」といわれたときに即答できます。
  • 質問はいくらでもする
    ドイツ人は(勿論人によりますが)かなり細かいことまで質問します。ですから,大家さんにしろ,不動産屋さんにしろ,質問に躊躇は不要です。訪問前にメモをとっておいてもいいかもしれません。Fragen kostet nichts!
  • しっかり見る
    失望したり,逆に一目惚れした場合は別ですが,通常はしっかりと隅々まで,何度でも,いろんな角度から創造力を働かせながら,しっかり見ることが重要です。後で,記憶を辿っても,実際はかなり違ったアパートであることがほとんどです。
  • 早い決断
    むずかしい部分です。一方ではじっくりと考えることも大事ですが,他方では物件に興味を持っている競合者が多い場合,即答しないと逃してしまう恐れ大です。
  • コストの確認
    共益費だけではないことも考えられますので,他にコストは必要ですか,の質問は大切です。また,特別な改装が行われていたり,前の住民が売りたい家具などがあることもしばしばです。ケチらず,しかし,あまり気前よくならず,お互いが納得する商談能力も時に必要になります。基本的には自由取引ですが,売る人は,最大でも新品価格の50%以上を要求することはできません。

賃貸アパートの探し方

  • 地方の日刊新聞(土曜版に多い)

    水曜日にも不動産広告が掲載されていますが,土曜日の方がずっと多いです。
    「アパートを探しています」の個人広告を出すと結構反応があります。勤務先の会社に掲載を依頼できるようであれば,チャンスはさらに上がります。
    数十ユーロで得られる「当社の秘書/従業員/社長が,XXX のアパートを探しています」的な個人広告は大家さんにも信頼性を与え,効果は大きいのです。

  • インターネット

    アパート探しでも,まずインターネット検索で表示されたサイトを順々に見る人が多いと思います。
    ドイツで幾度も転居した筆者も下記の不動産サイト,特に写真も構成も上質のトップ3(Immobilienscout24,immonet,immowelt)を見ることが多かったのですが,問い合わせフォームを送っても全く返事が来ないのです。
    特にImmoScout24は,高い家賃および不動産会社の物件が多く,一般の人たちが物件に関心を示して問合せを送っても,特に都市では返事はまず来ません。3ヶ月100ユーロほどの料金がかかるプレミアムアカウントを取得して,やっと内覧できるチャンスが高まります。
    Immonet,ImmoweltにはImmoScout 24のような有料のアカウントは提供されておらず,つまり,物件を探している人たちには無料,しかし物件を提供する家主から料金を徴収しています。そのため,個人で低家賃のアパートを貸したい人は他の無償の不動産サイトに掲載していることも多くあるようです。

    そのような状況の中で,eBay に掲載された物件を見に行ったとき,大家さんから「大手のサイトは探している人からも大家からも金をとり,その人たちを優遇する体制になっているから,プライベートな人たちと直接交渉したいならば eBay がいいよ」と言われたのです。確かに。筆者は「きれいでプロフェッショナルな」サイト作りに騙されて,ちょっとダサい eBay はあまり見なかったのですが,個人物件を探すならば eBay はとてもお奨めです。

    eBay 賃貸アパート
    immobilienscout24
    immonet
    immowelt
    meine stadt
    Kalaydo
    Wohnungsboerse
    null-provision 直接(不動産なし)
    ohne-makler 直接(不動産なし)

  • 不動産会社
  • 住宅局/住宅組合(Wohnungsgenossenschaften/Wohnungsbaugesellschaften)
  • 社会福祉住宅(WBS)
    WBS で提供されているアパートはフランスのような高層公団住宅は少なく,普通のアパートと同じですが,とても低い家賃が設定されています。証明書が必要ですが,給料が少なかったり,扶養家族がいる場合などは,問題なく取得できるようです。
  • シェア・アパート(主に学生)
    Wohngemeinschaft
    学生用シェア

物件を下見に行くとき

必要なもの

■ 身分証明書
■ 滞在許可証

家主側から説明がなかった場合に聞いておくこと

■ 家賃の内訳(光熱費,管理費など)
■ 引渡し時のアパートの状態(リノベーション)
■ キッチンの状態,設備
■ 地下室(物置)の有無
■ どんな隣人?
■ 地下の洗濯部屋の有無

家主側から聞かれるかもしれないこと(回答義務は無し)

■ 収入
■ 子供の数
■ 家族状況
■ 子供をつくる予定
■ 学歴,職歴
■ 年齢
■ 犯罪歴
■ 宗教
■ 国籍
■ 以前の賃貸状況
■ 所属政党・組合

(可能ならば)あった方がいいもの

■(これまでの)家主からの推薦文
■ 雇用者(使用者)からの就労証明または保証書
■ 書面(自分の紹介および探している理想的な物件の説明を簡単に記した文章)
■ SHUFA

ドイツ人ならばほぼ全員がSHUFA情報を取り寄せることができますが,来独してまもない外国人の場合は,情報がないことも考えられますので,代わりに銀行証明などがあればより良いと思います。 または,SHUFA情報が得られなかったり,過去に家賃支払の問題などがあった場合は,Mietbürgschaft を家主に提案するのも一案です。 将来,賃貸契約が解約されたときに返却される Kaution(敷金)は通常3ヵ月分の家賃ですが,実は法的には分割払いも可能で,入居時に全額支払わなくてもいいのです。しかし,現在多くの都市では需要(賃貸アパートを探している人)の方が明らかに高いので,分割払いを申し入れると信頼性を疑われて拒否される恐れが出てきます。 逆に,Kaution に加え,Bürgschaft も要求する家主も増えているそうです。それは上述したように,経済情報が不足している場合を除いて,断わることをお奨めします。

また,義務ではありませんが,一般的に家主は,家族状況,現住所,連絡方法,職業(学生),国籍,これまでの住居の賃貸契約の状況などについて,賃貸希望者の自主的な情報として提出を求めてきます。

不動産広告を読み取る用語と略語
賃貸アパートについて
家賃の相場について
SCHUFA 信用情報について


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