ドイツで起業


germany windenergy w640海外進出の過渡期

大企業主導から個のビジネスへの静かな転移

界を見渡すと,ダルマ式に拡大する大企業や天文学的な経済値を動かす超事業家の話題にあふれ,個の微力が無力に思えますが,少し目を凝らしてみると不動と思われていた多くの有名企業の存在が危うくなっていたり,柔軟性のある個人がコネもないのに地道な事業を始めていたりします。
国際的な取引をしているドイツ企業といえば,自動車関連会社が集中しているシュトゥットガルト周辺やハノーファー周辺,そしてルール工業地帯が良く知られるところですが,数百年前から地方の独立性が強い連邦国家ドイツの姿を反映してか,都会や工業地帯から離れたドイツ全土の地方にも多くの国際的な中堅中小企業が分散しています。

ドイツに売り込むこともこれからはやや有望になるかも知れません。というのは,輸出超過でも,日本と異なりこれまではバッシングなど受けることはなかったドイツの状況が変わり,行過ぎたアンバランスを調整するために,ドイツ政府,ドイツ経済団体,ドイツ商工会議所などが協力して輸入奨励に動き始めているので,小企業や個人でもドイツの経済活動に参加するためのバリアは低くなりつつある印象です。

アジア市場の足がかりとして日本に注目するドイツ

日本経済の伸び悩みとデフレーションが続き,それらに比例するように在独日系企業もドイツへの進出を図る企業も増えないドイツ国内の状況に反し,日本に進出するドイツ企業は増えています。バラ色で結果も早く出る中国での事業の困難さが現れ始めたことも一因。しかし,日本国民のエコ意識の高まり,健康(バイオ)食品の人気,再生可能エネルギーを主とする環境問題への取組み,少子高齢化,保健制度の見直し,都会集中の弊害に対処する新たな都市計画と都市ライフなど,ネット社会で現れてきた多くの問題や課題がドイツと酷似しているので,ドイツの関連企業が日本への進出のチャンスだと捉えているのです。

さらに,ドイツの企業はこれまでのように中国大陸だけではなく,アジア諸国への進出の足がかりを求めています。グローバリゼーションとは云っても,日本企業の進出先はアメリカを除くとアジア諸国が多いので,東南アジアの多くの国々ですでに拠点を確立している約6500社の日本企業と信頼関係を結ぶことができたら,東南アジアへの進出がスムースに行くのでは,という思惑があるようです。

日本は耐えられない,頼むからドイツに帰してくれ!

かつては「日本にだけはもう行きたくない」という愚痴のような声をときどき聞きました。特に日本人の企業や部署の指示に従わなければならない立場の場合,ドイツの労働環境では許されないような就労時間や私生活を無視した「必要時にはいつでも出動」の仕事第一体制やコミュニケーションなどでストレスが溜り,ノイローゼ状態で帰って来たという話もありました。

しかし,中小企業レベルでも海外企業との付き合いに慣れた日本人社員が増えるにつれてギャップも縮まり,日本に行く前に在日ドイツ企業450社から「日本企業とのコラボレーション・ノウハウ」も学び,さらに日本に関心を持っている社員を選定して派遣を行うドイツ企業の姿勢が効果を出し始めていることも事実です。

小企業や個人企業にとっても成功が望める,欧州随一の経済国ドイツ

germany vwbus w640戦後から今日まで,ドイツで事業を営む日系企業の筆頭は総合商社と銀行,そしてそれらを取り囲む関連会社や系列企業だけの時代が続いています。もちろん多少のサービス提供事務所もありますが,翻訳・通訳会社を除くとほとんどすべて,在独日系企業を対象とした業務および在独邦人の生活を助けるサービス事務所です。

そして日本食レストラン。日本政府の後押しで,ハンブルクとデュッセルドルフに戦後初の日本食レストランが開店されて以来,個人や企業の経営による数多くの和食処が現れては消えながらも,日本食はドイツ社会に浸透しつつあります。

考え方を変えると,これだけ。専門知識を有し,外国語に堪能な人でなければ,個人規模では海外に拠点を置いた貿易業務に従事するのは無理,というのが常識だったと思いますが,変わりつつあるのではないでしょうか。

異常とも思える消費社会日本の是非は別にして,日本に向けた欧州・ドイツ発信のビジネスは,少なくとも売り市場の日本と,厳しいながらも経済活性化のために緩和されつつある拠点ドイツの許認可を考えると,全くコネのない個人や小企業にとっても「やれる」,可能性と将来性が開かれた時代に入っていると思います。
日本の外交政策の成果なのか,欧州諸国の日本に対する信頼性が高いからなのか定かではありませんが,日本(人)はアジア諸国では唯一,世界の先進国と比較しても,ドイツでは多くの面で優遇が図られているので,本当は入りやすい条件が整っているのです。

ドイツ語が出来ない! どうするコミュニケーションの壁?

consultant w640ドイツ語がむずかしいのは認めます。日本人は第一外国語の英語でさえ苦労しているのに,さらにドイツ語となるとお手上げだよ,と言われる方が多いかもしれません。しかし,実際は,というか最近は,すべて英語で通すことができるのです。
正確にはひとつを除いてすべて。役所仕事や許認可手続きはドイツ語のみです。これさえクリアすれば,取引の商談や書類などは英語ですべて行えると考えていいでしょう。

北欧諸国やオランダなどとは異なり,ドイツ人は長らく英語が不得手でした。また,英語ができる人も,外国人相手に最初は英語で対応しても,長期間経つと「まだドイツ語できないの?」という態度で「ドイツではドイツ語」というのが常識だったのです。もちろん,難民の統合政策にしてもドイツ語習得が必須で最も大きな障害になっているのは事実ですが,商取引に限ると,英語で行える環境が国際的な大企業同士だけではなく小企業内でも整っていると考えていいと思います。

ドイツ企業の99パーセントは同族企業を主とする中小企業。これらのほとんどの企業の商売は欧州諸国との取引なしには成り立たず,社員も多くの諸国に人たちで構成されているので,社内での日常の会話もドイツ語と英語が交わりあっていることが多いのです。

それを知っているのか知らないのか,現在 BREXIT 後の英国に不安を感じ,渡独してドイツ国籍を申請している英国人が急激に増えています。
そのような時代の流れに合わせるように,独日の商工会議所,JETRO,州経済振興会社なども,以前は相手にしなかったような個人企業にも情報提供を始めているような印象です。

 JETRO(ドイツ)
 ドイツでのビジネス立ち上げ(Germany Trade & Invest)


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